2009年5月4日月曜日

ビバーク考(2):結露について

夜間に結露したツェルト内部。気温不明。外は霧雨

結露について

夜間、山にいると常に付きまとう問題が結露の発生。忘れてはならないことは、たとえ透湿性をもつ素材でも条件しだいで容易に結露するという点だ。

右は、finetrackの透湿性を持つツェルトに発生した結露。

結露考

結露は、温かい蒸気が冷やされ凝結することにより発生する。したがって結露を減らすためには、

  • 水蒸気量を減らす
  • 温度差をなくす

の2点に絞られる。

  1. 水蒸気量を減らす
    煮炊きを避ける。暑すぎる装備で寝ない。ただし、人間の体から発散される不感蒸泄は抑えられない。換気によって水蒸気を外部に排出することで水蒸気量を減らせる。
  2. 温度差をなくす
    積極的な換気を行う。

ツェルト内部など結露発生部位で換気を頻繁に行う事により、結露はかなり防止できる。しかしながら、換気は次の点で良い解決策とは言えない。

  1. ツェルトなどシェルター内の熱を逃がす
    盛夏を除き熱は逃がさないほうがよい
  2. 衣服やシュラフの内部結露の発生
    ダウンシュラフを湿らせたり、最悪濡らしてしまう。

ツェルト内部の気温を下げすぎると、上記2.の内部結露が発生する点に注意。シュラフ表面と内部に急な温度勾配が発生すると、体から出た蒸気はダウン表面やシュラフカバー内側に結露する。



これはツェルトなしでシュラフカバーのみでビバークした場合も該当する。 ゴアテックスなどの高性能透湿素材でも同様に結露する。ゴアテックスが透過するのは水蒸気のみであり、シュラフ表面に近いダウンの温度が下がってカバー内で結露した場合は、ゴアテックスメンブレンの透湿性は真価を発揮できない。

結露のコントロール

2通りある。

  1. 湿度のたまる層をなくす方法夏山で気温が十分高く、降雨の心配がない場合は換気を十分にするとともに、湿度を逃がしにくいシュラフカバーの使用をやめる。
  2. 結露場所をあらかじめ設定し、濡らしてはならない装備を守る方法シュラフカバーの外側に結露させる層を作成する。

経験的に1は判断が難しく、2の方法の方が簡単だが、暑くて寝苦しい思いをする場合もあり、結局温度調節がいる。

たいていのビバークでは上記2をメインにし、暑ければ上半身をシュラフから出して寝ている。

失敗談

1500m近辺、8月にマット、ダウンシュラフ、ゴアテックスシュラフカバーのみでビバーク。満天の星空に流星がながれていて、うるさい羽虫を除けば最高の夜だった。

入眠も適温で極めて快適だったが、翌朝は寒くて起床。ダウンシュラフの背中から側面にかけて結露でビショビショに濡れてロフトが消失していた。原因は以下の3点が考えらた。

  1. シュラフカバーは、換気が悪く、透湿能力を超えると蒸気が溜まってしまう
  2. シュラフ表面の温度が下がりすぎてカバー内部で結露した
  3. 結露個所は、ゴアテックスの透湿性が失われるため、一旦、カバー内側で結露が発生するとカバー内部の湿度は上昇しやすくなり、さらに結露を生むという悪循環に陥った

この場合は、カバー無しで寝る方が良かったと思う。