2011年5月1日日曜日

登山靴とインソール

ここでは登山で使用する中敷(インソール)について述べる。右はオーダメイドインソールのSUPERfeet カスタムグリーン。

インソールの評価

ここではインソールの効果について述べるが、インソールは「比較可能な客観的評価が難しい」ことに注意。ここでは、インソールを利用し続けて気付いた点および所持インソールについて傾向を述べるにと留める。

所持インソール

  • SUPERfeetグリーン
    初めに購入したインソール。平均的な足形から作成されており、店舗で購入してすぐ使える。2組み所持。
  • SUPERfeetカスタムグリーン
    オーダメイドインソール。椅子に座った状態で無加重の足形をとって作成するタイプのインソール。
  • SIDAS CONFORM'ABLE Walk+(熱成形)
    オーダメイドインソール。立った状態で加重された足形をとって作成するタイプのインソール。

インソールの効果

以下の機能により、長時間の歩行や直立に対して「疲労軽減」効果がある。

  • 地面からの衝撃を分散
  • 足のアーチ(かかと-親指の付け根-小指の付け根の3点をとおる曲面)をサポートし疲労を軽減
  • 足裏を適切に支え姿勢の矯正する

インソールが適切に機能していれば、たしかに長時間歩行後の土踏まずの痛みなどを軽減してくれる。一方、インソールには以下の機能はない。

  • サイズの合わない靴の調整

新しい登山靴をおろした後、購入時に気付かなかった靴と足が当たる部分にトラブルを起こす(爪下血腫などがある ) が、基本的にはインソールで解決するものではない。

インソールの選び方

以下の条件を満たすインソールであれば、どのメーカの、どのグレードのインソールを使おうとも効果は得られる。

  • 足のアーチを支える機構がある
  • かかとにホールド感があり、靴紐しっかり締めると靴の中で足が遊ばない
  • 足を着地させたとき、かかとにかかる衝撃を分散する機構がある

ある程度のインソールであれば殆どが上記条件を満たすと思われる。2つの指標を示す。

  • インソール単体で考えず、「靴+インソール」で選ぶ
  • 足のサポート方法で選ぶ

「靴+インソール」で選ぶ

適切なサイズの靴に前述の条件をみたすインソールを合わせた際、靴紐で足の甲をしっかりしめると足に遊びがないこと。あとは親指を上下に動かして窮屈感がなければOK。インソールの効果は得られる。そこから一歩進んでインソールの履き心地になると、気に入るかどうかは店の中でためし履きしたレベルではほぼ判断がつかない。悩むくらいなら値段と直感で選んでしまってよい。

ただし、インソールの裏に尖った個所があるものは止めておいた方が無難。靴内部、とくにゴアテックスにダメージが出ることがある。

足のサポート方法で選ぶ

インソールには性格があり、足にかかる負担を積極的に肩代わりしてくれるタイプ(SIDAS)や足が本来持っている負担を吸収する機構をサポートするタイプ(SUPERfeet)など各社さまざまな製品を出している。

以上を踏まえて以降は、所持インソールについて述べる。

SUPERfeet

平均的な足形から作られた「トリムフィット」とオーダメイドの「カスタムフィット」がある。トリムフィットを取り扱っている店は多いがカスタムフィットを取り扱っている店は殆どない。いずれのタイプも足のアーチによる体を支える機能を助けるよう設計されている。使用してみた感想では足の型が平均から大きく外れていなければ、特にカスタムフィットを選ぶ必要はない。(理由:機能差は感じられないが、カスタムフィットの方が高価で脆いため)

左上は数年間使用したSUPERfeet。加重がかかった個所がすり減り変色している。





左下は、同じ画像の内、すり減った個所を抽出して赤でハイライトしたもの。

SUPERfeetは足のアーチを直接支えずヒールカップの形状で足のアーチを作りだすため、土踏まずの部分に荷重がほとんどかからない。そのため土踏まずの部分は痛んでないことがわかる。

以上はトリムフィットの例だが、この傾向はカスタムフィットでも変らない。土踏まず部分はインソールから浮いた状態になる。

なおトリムフィットとカスタムフィットの違いだが、履いてみた感じでは殆どわからない。一応ブラインドテストでは連続で履き比べれば区別できる(カスタムフィットとトリムフィットで踵のホールド感が違う)が、逆にいえば一足だけでは判別できない。

その他、ちょっとした豆知識

  • 色によっていろんなタイプのSUPERfeetがあるが、登山用途ではグリーン以外を気にする必要はない。
  • SUPERfeetの説明書には、耐久性について「1年かそれ以上」とうたっている。実際4年間使い続けたトリムフィットグリーンと新品のトリムフィットでブラインドテストをしてみたが、新品と使い続けた物を区別できなかった。
  • カスタムフィットの作成について。東京都内なら探せば割とすぐ見つかる。地方都市ではまずない。作成時間はたしか1時間くらいだったように思う。
  • カスタムフィットの接着について。プラ部分が剥離しやすいので靴にインソールを出し入れするときは曲げ方向に力がかからないように慎重に取り扱う必要がある

SIDAS COMFORM'ABLE Walk+

足裏を全面的に支えるタイプのインソール。熱成形で足形合わせたオーダメイドに対応している。ただ ソールの厚みがやや大きいため靴によっては窮屈になるかもしれない。

私見ではSUPERfeetより疲れにくい。クッション性がよく、アーチもしっかり支えるためだと思う。曰く、足を甘やかせるタイプのインソールなのかもしれない。

あまり履いてないため長期に使うとどうなるかはまだ不明。

インソールに対する個人的感想

足の木型から起こしてオーダメイドの靴を作っている人以外は、高機能のインソールを使う価値がある。靴、インソール、靴下は、セットと考えて自分に合ったものを選ぶべき。