初めての道迷いを経験した。ここではその顛末を記す。
概要および起こった事実
右図は、鳳凰三山の一つ、観音ヶ岳頂上付近の25000分の1地形図である。地図上の赤いラインは歩いた軌跡を示すGPSログである。図中の中央北寄り2800m付近で一度コースを外れ、また戻ってきているのがわかる。
移動方向は、南から北(図では下から上)であり、頂上からの下りで道を間違えたことがわかる。正しいルートは尾根沿いであるため、道迷い後すぐにルートを外したことに気付き、尾根への復帰を試みているが、岩とハイマツで移動困難だったため、突破をあきらめ、もと来た道を登り返している。
なぜ道迷いは起こったか?
道迷いに至る原因について段階的に考察した。
- [なぜ道迷いを起こしたか?] →
下りルートの選択を誤った - [なぜ下りルートの選択を誤ったのか?] →
ルートを示す赤ペンキの道標解釈を誤った - [なぜ赤ペンキの道標解釈を誤ったのか?] →
道標を見ている自分の位置・ルートが正しいという思い込み - [なぜ自分の位置・ルートが正しいと思いこんだのか?] →
地形図と周囲景色に矛盾がなかったため - [なぜ地形図と周囲景色に矛盾がなかったのか?] →
なだらかなザレ場をはしるトレースが近傍に複数あり、正しいトレースをたどってなかったとしても25000分の1スケールでは判断不能。また下りコースに入ると岩と低い灌木で見通しが悪かった。
道間違いの直接原因
道迷いの現場のイメージは以下の通り。青のラインをたどるべきところで、赤のラインをたどり道を間違えた。
赤のラインに沿って歩いて行くと、行く手に倒木が横たえられており、その上に赤ペンキでバツ印が入れられているのが見える。この印はほぼ真上を向いていた。
地蔵ヶ岳に至る正しいコース(青のライン)から見ると、このバツ印は間違ったコースに侵入させない目印の役割を果たす。しかし、反対側(赤のライン)からみると、このバツ印は間違ったコース上にいるものを正しいコースに復帰させないという害をもたらしている。
道迷いに何時気づいたか?
30m程度降下後、進行方向が谷地形、左手に尾根が見え始めたためルートを外したことに気付いた。
道迷いに対する対応
尾根へ直登を試みたが「登れる、かつ、降りれる場所しか行かない」というルールに触れたため、セオリーに従い頂上へ戻ることを選択した。
再発防止
赤ペンキのマル印やバツ印を見つけたら、それをどの方向から見るべきか検討してからルートを選択すること。マル印やバツ印を超えて侵入し、振り返って地形図・コンパスと照合・確認すること。